売り言葉に買い言葉

雲乙です。太乙真人が雲中子に放置プレイかまされた後でセックスする話です。
太乙がめっちゃビッチになってます。雲中子とはわりとただれた関係です。

 深夜、終南山玉中洞内にある雲中子の寝所にて。
「ううう、んぐぐ……」
 寝台の上に太乙真人が横たわってもがいていた。寝衣をまくり上げられて剥き出しになった尻には張り型が埋め込まれ、帯紐でしっかりと固定されていた。手は別の帯で後ろで縛られている。
「んむぅ、ううう……」
 今そこには居ない雲中子に向かって抗議の声を上げようとしているようだが、口に噛まされた棒状の口枷に阻まれてその声は言葉になることはない。もぞもぞと動いて戒めを解こうとするものの、しっかりとその手を戒める帯はびくともしなかった。
「……っ!」
 太乙の尻の孔にしっかりと埋め込まれた張り型がヴウウウウウン……という鈍い音を立てる。その途端、太乙はびくりと身を震わせ、声にならない声を上げた。
「んうぅ、ううう……」
 苦悶と快楽の入り混じった声を上げ、太乙が身をよじらせる。それでも尻穴に深々と埋め込まれて固定された張り型は、全く抜ける気配もなかった。
「ううう、うう……」
 振動音は絶えず続いており、太乙は苦しげな呻き声を上げ続けた。彼の性器はひくひくと勃ち上がっており、寝台の敷布に先走りのしみを更に増やしている。口枷を噛まされた口の端からだらりとよだれが垂れた。
「ん〜〜〜っ、う〜〜〜〜っ」
 やがて太乙は絶頂に達した。身をよじりながらびくびくと震わせ、頭を仰け反らせて時間をかけて達する。性器からは先走りの汁がだらだらと溢れ続けるのみで、精液が飛ぶことはなかった。
「フーッ、フーッ、フーッ……」
 絶頂のピークを越えた後の快楽に茫洋とした視線で、口枷の隙間から荒い息を吐く。射精を伴わない絶頂では通常の射精と違って頂点に達するのも一瞬ではなく、その後の虚脱感もなく達した後にもゆるやかな快楽は続く。達した太乙の身体はその後も快楽から解放されることはなかった。張り型の振動は緩やかに切り替わったものの終わる様子はない。
 何度これを繰り返したのか、太乙は途中から数えるのを諦めていた。時間の感覚もはっきりせず、雲中子が自分をこの状態にしたまま部屋を出て行ってからどのぐらい時間が経ったのか太乙には分からなかった。
 あの馬鹿は一体いつになったら戻ってくる気だ、そうぼんやりと考えながら、太乙はゆっくりと意識を手放した。

 取りかかっていた論文を書き終えて筆を置いた雲中子は、大きく伸びをすると立ち上がって書斎を後にし、寝衣に着替えて顔と手を洗った後、ねやの扉を開けた。中で待っていたのは雲中子の寝台の上で縛られて轡を噛まされたまま、ぐったりとして意識を失っている太乙真人だった。張り型を固定していた帯紐を解き、ずるり、と後門から抜いてやると、太乙は呻きながら意識を取り戻し、目を開けた。
「論文終わったよ、太乙」
「……ぷはっ、はあ、はあ……雲中子、人が折角抱いてくれって誘っているのに、この仕打ちは酷いんじゃない?」
 口枷を外してやると雲中子をにらみ付けながら、開口一番に太乙の口から文句が出てきた。下衣に覆われた雲中子の下半身をじろりと睨むと咎めるように言い続ける。
「その股間についてる自前の宝貝は飾りか何かなわけ? 道具で済ませて自分は他の事してるとか、いくらなんでも失礼なんじゃないの?」
 ひたすら文句を言い続ける太乙に、雲中子は呆れたような冷たい声で返した。
「その道具を自分で作っておいてよく言うよ」
「別に自分に使うつもりで作ったんじゃない。君が時々入れてくれって言うときにこれ使ったら楽かなと思って作ったんだ。性具宝貝『陽根杵』。装用者の仙力を動力源にした宝貝で、慣れで感覚麻痺するのを防ぐため、予想もつかないタイミングでランダムな動きをするように設計してある。ちなみに、装用者の仙力がエネルギーソースになってる設計上、意識のない時には作動しない」
 自慢げに言う太乙を呆れたような目で見た雲中子は、手の中の張り型に視線を移す。若干大きめの男性器を模したそれには複雑な凹凸がついており、なかなかに凶悪な形状をしている。
「人に横着しようとしておいて自分がされたら怒るのは筋が通ってないんじゃないかな。それにしても、そのためにわざわざこんな凝った仕様のものを作るとは、横着なんだかマメなんだか……」
「楽をするためにはどんな苦労も厭わないのが技術者というものだよ。っていうか、その横着極まりない行為を人にやっといてそれ言うわけ?」
「元々横着するために作った宝貝なんだろう? だったらそう使われることに何の問題もないし自分に使われる事だって当然想定すべきなんじゃないか」
「ああ、お陰で十分すぎるぐらい有意義なテストができたよ。いいデータが取れた。このフィードバックを活かして更に改良したバージョンが出来たら、今度こそ君に使ってやるから覚えてろ」
 雲中子にもっともなことを指摘され、太乙は皮肉たっぷりに返した。ああ言えばこう言う口の減らない太乙に、雲中子は呆れたようにため息をつく。
「だったらその改良した宝貝使って性欲発散させたらいいじゃないか。大体今だってこれを使って十分に楽しんだろう?」
 雲中子が太乙の目の前で陽根杵を左右に振って揶揄すると、太乙は分かってないなというように言った。
「あのね、私はね、今、生の男根が欲しいんだ。ひとに抱かれて熱い『精』を直接体内に注ぎ込んで欲しいわけ。君と最後にやったのいつだと思ってる? もうどれだけご無沙汰だと思ってるんだ」
「君のことだから私が抱かなくても他に適当な奴捕まえてやってるもんだと思ってたけど、意外ともてないんだな君は」
「もてるもてない以前にね、この仙人界でまともに性欲がある奴が一体どれだけ居ると思ってるんだ。それより、御託はいいから君のその自前の宝貝さっさと使ったらどうだい」
 売り言葉に買い言葉の末に開き直って強請る太乙に、雲中子は呆れたように首を振って言った。
「それが人にものを頼む態度なのか……まあいい。じゃあ、まずは口でしてもらおうかな」
 そう言って雲中子は己の下衣を解くと太乙の身を起こさせ、己の性器を彼の眼前に突きつけた。太乙は所在無げにもぞもぞと身を捩らせた。
「ほら、早くしなよ。欲しいんだろう?」
「手、使えないんだけど」
 先ほどから太乙の手の拘束は解かれていないままだった。雲中子は面倒臭いといった顔で太乙の頭を掴むと、己の性器にその顔を近寄せる。
「手を使わなくても口だけでできるだろう? いいからさっさとしなよ」
「うわ、なに君そんな嗜好あったの? 趣味悪い」
 拘束された身を竦ませて引く太乙に、雲中子は呆れと苛立ちを含んだ声で応えながら己の性器を太乙の頬に押しつけてぴたぴたと軽く叩いた。
「その趣味悪い男に迫って抱いてくれと要求する君にだけは言われたくないよ」
「別に私は抱いて貰えるなら君じゃなくたっていいんだ。今日だって道徳のところに行くつもりだったし。でも洞府を留守にしていて居なかったんだ。それで仕方ないから君のところに……ふぬっ」
「無駄口叩いている暇があったら口動かしたらどうなの?」
 うるさく文句を言う太乙の鼻に先端を押し当てて黙らせる。太乙は雲中子を上目遣いでじろりとにらみつけたが、それ以上は文句を言わずに黙ってそれを口の中に迎え入れた。
「……うむ、んう……」
 長い間ご無沙汰だった自分以外の雄の匂いにそれだけで興奮と期待が沸き上がってくる。全体を口に含み、吸い上げてやると太乙の口の中のそれが容積を増した。口に入れたまま舌で全体を嘗め回してやると雲中子が太乙の髪を撫でてきた。
「……っは、うん……」
 屈辱的な状況ではあるものの、その状況に太乙は若干の興奮を覚えていた。口で奉仕しながら自らの股間を足にこすり付けて自らを慰めようとするものの、満足な刺激には程遠かった。
「なんだ、いつもよりがっついてるじゃない。君もそういうことされて悦ぶ嗜好あるんじゃないの。趣味悪い」
 先程自分が言ったのと同じことを返されて太乙はむっとして言い返そうとしたが、雲中子にしっかりと頭を押さえられているせいで口を離すことが叶わない。仕方なく上目遣いで雲中子を睨みつけて抗議の意を示そうとする。
「そんな欲情しきった目で睨まれたって説得力ないよ、太乙」
 しばらく口での愛撫を受けた後、雲中子がはちきれんばかりに膨張したそれを太乙の頭を掴んだままゆっくりと口の奥まで進めてやると彼はくぐもった呻き声をあげた。それでも雲中子のそれに歯を立てないようにしっかりと口を開いて喉の奥まで受け入れる。
「そうそう、分かってるじゃない……の」
 太乙の口を犯しながら雲中子の声もかなりうわずってきた。それを確認した太乙は仕上げとばかりに口全体を使って強く吸い上げる。雲中子は片手で竿の出ている部分をしごき上げ、呻き声を上げるともう片方の手で太乙の頭を掴んだまま彼の口の中に吐精した。
「……っく、ゲホッ」
 喉の奥に精子をぶちまけられ、思わず太乙はむせ返ってしまう。むせた瞬間に口から性器が離れ、太乙の前髪と顔全体に残りの精子が降りかかった。
「ケホッ、っくそ、何てことするんだよ……」
「ああ、悪い。君がむせたりするもんだから」
「人の喉の奥にぶちまけといて私のせいかい。まったく良い根性してるよ君は」
 全く謝意の感じられない雲中子の謝罪に太乙は顔から精子を滴らせながら文句を言った。そんな太乙に雲中子は悪びれもせず言い放つ。
「それより、これが欲しかったんじゃないの君」
「え、ちょっと、その前に腕ほどけよ……うわっ」
 雲中子は太乙の細い身体を横倒しにすると彼の片足を担ぎ上げ、身を割り入れると孔の回りに性器をこすりつけて先走りを塗りつけ始めた。
「それ結び目が固くなっててほどくの面倒臭そうだからこっちが先だよ」
「うわ、縛ったまま犯る気なの君。何それ。変態。変質者。強姦魔」
 後ろ手に縛られたまま倒された太乙は信じられないといった目で雲中子を見上げながら、身動きの取れない身体で唯一自由になる口で思いつく限りの罵りの言葉を連発する。雲中子は太乙の孔に先端を押し当てて言い返す。
「誰が強姦魔だ。その変質者に自ら望んで犯られて悦ぶ変態のくせに」
「うるさい、大体君が……っあああ!」
 抗議の途中で身体の奥深くまで貫かれ、太乙は艶を含んだ悲鳴を上げた。先程まで張り型が入っていたその孔は、突然の侵入にも全くの抵抗なく雲中子を受け入れた。抗議が止んだのをいいことに、雲中子は奥深くまで貫いたそれを更に押しつけるようにしながらゆるやかな抽挿を開始する。
「あっ、あっ、ああっ!」
 散々待ちわびていたものに身体の奥まで蹂躙される快楽に、太乙は大声で嬌声を上げることしか出来なかった。不自由な体勢であることに加えて拘束されていることで、与えられる刺激を嫌が応にも甘受する他にない。
「あっ、っは、ああ……ん」
 太乙はもはや恥も外聞もかなぐり捨てて与えられる快楽を貪った。その雄はひくひくと痙攣し、先端から悦びの涙を流している。
「……く」
 太乙の減らず口が嬌声に取って代わっているのと同様に、雲中子の方ももはや何かを言う余裕は失っていた。全ての余分な思考も言語も頭の中から一時的に排して、太乙の肉体を味わいつくすことに注力する。閨の中には水音と絶え間なく上げられる太乙の嬌声だけが響き渡った。
「んあ、あああ……っ」
 それからどのぐらい時間が経過したのか定かではない中、先に果てたのは太乙だった。今度は先端からドロドロと精を吐き出して果てる。それから少し後に雲中子が己の中で果てるまでの間、太乙は焦点の定まらぬ目で虚空を見据えたまま射精後の虚脱感と余韻に浸っていた。

「あいてててて……くそう、覚えてろよ」
 雲中子が戒めを解いてやると、ようやく解放された腕を横たわったままさすりながら太乙が憎まれ口を叩いた。
「散々よがっといてよく言うよ」
「うるさい、それとこれとは話が別だ」
 言い返す太乙を無視し、雲中子は彼の横にごろりと横になった。二回も連続で吐精して流石に疲れている。湯浴みをして身を清めてから寝た方がいいかな、と思いつつも射精後の疲労感には勝てず、雲中子は心地よい眠りの中に引き込まれていった。

《了》

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